絵のタッチとは、「画風」や「スタイル」とも言われ、漫画を語る際には必ず用いられる用語です。
具体的に説明すると、イラストの線の細さ、作りの細かさ、作家の絵の特徴、個性を包括的に表した言葉です。
絵のタッチは読者にとっても、作品を知る重要な要素です。例えば、キャラクターの目が大きく、イラスト全体の線が細く柔らかい絵柄は、少女漫画に多数見受けられます。このような傾向を把握すると、絵を見ただけでその漫画のジャンルを判断することが可能です。
この記事では少年漫画、少女漫画、大人向け漫画の人気作品の絵をもとにジャンルごとの特徴について考察していきます。
少年向け漫画
進撃の巨人
出典:『進撃の巨人』 ©諌山創/講談社より
○あらすじ
巨人が全てを支配する世界で、残された人間は三重の壁を築き、100年の平和が保たれていました。
主人公エレン・イェーガーは、幼馴染ミカサやアルミンとともに平和な日常を享受していました。
しかし、超大型巨人と鎧の巨人が突如として出現し、エレンの故郷と壁は無残にも破壊されてしまいました。
エレンは巨人をこの世から駆逐する為に壁の外側に出向き、調査を行う調査兵団に入り巨人と戦っていきます。
エレンの成長と復讐を描くダークファンタジー作品となっています。
ワンピース
出典:『ワンピース』 ©尾田栄一郎/集英社より
©尾田栄一郎/集英社より ・あらすじ
海賊が海を支配する大海賊時代、主人公のモンキー・D・ルフィは海賊に憧れる一人の少年でした。
しかしある日、悪魔の実「ゴムゴムの実」を誤って食べてしまい、ゴム人間になってしまいました。
海賊のシャンクスに助けられ、いずれ海賊となって預かった麦わら帽子を返すことを誓ったルフィは青年に成長し、海賊王を目指して航海の旅へと故郷を離れました。 日本を代表する王道少年漫画の傑作です。
ドラゴンボール
出典:『ドラゴンボール』 ©鳥山明/集英社より
七つ揃うと願いが叶うと呼ばれる「ドラゴンボール」を巡る物語。主人公の孫悟空は尻尾の生えた変わった少年で、死んだ祖父を生き返らせるためにドラゴンボールを集める旅をしています。
カプセル・コーポレーションの娘でメカニックのブルマや亀仙人との出会いによって、成長し強くなっていく孫悟空の冒険物語となっています。
連載終了から20年以上経った現在でも揺るぎない人気を誇っており、海外でも知名度の高い、日本最高の漫画の一つとされています。
名探偵コナン
出典:『名探偵コナン』 ©青山剛昌/小学館より
高校生探偵・工藤新一はいくつもの事件を解決に導いた名探偵です。ある日同級生の毛利蘭とのデート中に事件を解決するものの、怪しい黒服の男を見つけて追跡していたがバレてしまい、薬を飲まされ、子供の姿になってしまいました。
その後は江戸川コナンの名で毛利家に保護してもらい、工藤新一であることを隠しながら江戸川コナンとして事件を解決していきます。 推理漫画の金字塔であり、こちらも海外から高い評価を受けている作品となっています。
北斗の拳
出典:『北斗の拳』 ©原哲夫、武論尊/集英社より
時は199x年、世界は核の炎に包まれ、文明は滅び、暴力が全てを支配する時代となっていました。 その弱肉強食の世界で一子相伝の暗殺拳「北斗神拳」の後継者ケンシロウが世界の救世主として戦う姿を描いた冒険譚です。
恋人ユリアとの愛、同じ北斗神拳を学んだ義兄弟のラオウ、ジャギ、トキなどとの決別や哀しみなど深いドラマに満ち溢れ、後世の漫画家に多大な影響を与えました。
現在でも人気が高く、TVアニメや外伝作品などの新しい展開が続いている漫画です。
僕のヒーローアカデミア
出典:『僕のヒーローアカデミア』 ©堀越耕平/集英社より
人間が生まれながらに「個性」として超能力を持つようになった世界。主人公の緑谷 出久(通称デク)は世界で悪を働くヴィランを倒すヒーローに憧れを抱いているものの、個性を持っていませんでした。
そんなデクの前にナンバーワンヒーローのオールマイトが現れ、彼の個性を継承することに。
個性を持たないデクが熱意と努力で成長していく王道バトル漫画です。
アメコミの影響を強く受けており、他の日本漫画とは一味違う描写が魅力の一つです。アメコミの本場アメリカでも絶大な人気を誇っています。
少女向け漫画
花より男子
出典:『花より男子』 ©神尾葉子/集英社より
裕福な生徒が通う超名門と呼ばれる英徳学園に進学した一般庶民の牧野つくし。金持ち生徒の生活を傍目に自分の状況に失望している彼女だが、学校を牛耳る花の四人組、通称F4に目を付けられてしまい、いじめのターゲットにされてしまいます。
正義感の強いつくしはF4と真っ向から立ち向かうことにします。そんな中、F4のリーダーの道明寺がつくしを好きになってしまい、F4は道明寺をきっかけに変わっていくことになります。
つくしの成長と恋を描いた恋愛漫画の傑作です。
ベルサイユのばら
出典:『ベルサイユのばら』 ©池田理代子/集英社より
時は18世紀。オーストリア帝国・ハプスブルク家の王女として生まれたマリーアントワネットはフランス・ブルボン家のルイ16の妻になることになりました。
生まれ故郷に別れを告げ、ヨーロッパ随一の王家に嫁ぐこととなった少女の身に待ち受ける波乱の恋と革命について描いた少女漫画の傑作です。
宝塚歌劇団による劇化やアニメ化を果たし、社会現象をも巻き起こしました。
ガラスの仮面
出典:『ガラスの仮面』 ©美内すずえ/白泉社より
貧しい家庭で育った少女・北島マヤは学校帰りに母が働く中華料理屋の出前の手伝いをしていました。
それといった取り柄も美貌も持ち合わせていなかったが、芝居や映画には目が無く、それを見ると夢中になり他のことが手につかないほどでした。
そんな彼女ですが、元女優の月影千草と出会い、運命の歯車は動き始めます。一度見た芝居や映画のセリフや役者の動きを正確に記憶する能力や役に憑かれたように演じる演技力を月影千草に見出され、演劇の世界へと足を踏み入れることになりました。
ほとんどのストーリーが「劇中劇」の構成となり、「白目」描写も有名な作品です。
君に届け
出典:『君に届け』 ©椎名軽穂/集英社より
真っ黒な長い髪と青白い肌、そして陰気な性格の黒沼爽子は、学校で「貞子」と呼ばれていました。
座右の銘「一日一善」を実行し、毎日困った人を助けるものの、その容姿から怖がられてしまう日々が続いていました。
そんな爽子に分け隔てなく接してくれる同じクラスの風早は、彼女にとって憧れの存在でした。
夏休み前のクラス行事で、爽子は肝試しのお化け役をやることになりますが、そこから風早との距離が徐々に縮まっていくこととなります。
アニメ・映画化もされた甘酸っぱい王道少女漫画です。
花ざかりの君たちへ
出典:『花ざかりの君たちへ』 ©中条比紗也/白泉社より
芦屋瑞稀はテレビで自分と同い年の高跳び選手・佐野泉を見て、その姿に心奪われ彼に会うために住んでいた海外を離れて一人で日本に帰国しました。
そして佐野泉と同じ学校に入学することに成功したものの、その学校は男子校・桜咲学園で、自分が女であることがバレないように生活するといった内容です。
過去に二回ドラマ化され、その人気は連載終了した今でも高いです。
NANA
出典:『NANA』 ©矢沢あい/集英社より
田舎でも都会でもない地方の町から上京してきた、小松奈々がひょんなことからミュージシャンの大崎ナナと巡り合う、二人の「NANA」の恋愛と成長の物語です。
こちらの作品、アニメ化も果たした人気作品ですが、作者の病気休養のため、2009年から休載しており、現在も連載は再開していないようです。
しかし、2022年に原画展が開催され、作者も徐々に活動を始めているようで、連載再開の声が多い作品です。
大人向け漫画
ゴルゴ13
出典:『ゴルゴ13』 ©さいとう・たかを/小学館より
政治や人間ドラマを巡る超一流のスナイパー「ゴルゴ13」の物語です。この作品は劇画と呼ばれる漫画表現で描かれており、少年漫画とは異なるハードボイルドな雰囲気やハリウッド映画の影響を強く受けた大人向けの漫画です
絵は線が太く、影が濃いという特徴があります。これらの特徴は現代の漫画にも受け継がれています。
ジョジョの奇妙な冒険
出典:『ジョジョの奇妙な冒険』 ©荒木飛呂彦/集英社より
19世紀末のイギリスが舞台で、貴族の息子ジョナサン・ジョースター(通称ジョジョ)と貧民街から引き取られた養子のディオ・ブランドーとの物語が始まります。
謎の石仮面を被り吸血鬼になったディオを倒すため、ジョナサンは特別な呼吸法「波紋」を身に着けて成長していきます。
その後、二人の因縁は世代を超えてジョジョの孫のジョセフに受け継がれます。ジョジョの血族を巡る壮大な物語です。
キングダム
出典:『キングダム』 ©原泰久/講談社より
古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に、戦国七雄の騒乱の中で中国史上初めて天下統一を果たした始皇帝と、彼を支えた武将李信の物語です。
主人公は武将李信で、物語は彼の少年時代から始まります。
映画やアニメ化もされた人気作品ですが、連載当初は人気が出ていなかったそうです。
しかし、作者の師匠である井上雄彦氏(『スラムダンク』で有名)からのアドバイス「黒目を大きくしろ」という指摘を受けてから人気が徐々に上がったと言われています。
目の描き方一つで漫画の評価がガラッと変わってしまうことを示す代表的なエピソードです。
東京喰種トーキョーグール
出典:『東京喰種』 ©石田スイ/集英社より
主人公の金木研は本好きの普通の青年でしたが、ある事件をきっかけに人の肉を喰う「喰種(グール)」になってしまいます。人と喰種の間で揺れ動く金木研の葛藤と成長を描いた物語です。
この作品の作者は、もともとweb漫画で有名になった人で、絵のタッチにもインディーズweb漫画時代の影響が残っています。
闇金ウシジマくん
出典:『闇金ウシジマくん』 ©真鍋昌平/小学館より
闇金業者の牛嶋を中心に、社会の裏側で起こる事件を描いた物語です。
ホストやキャバ風俗嬢、ヤクザ、反グレなども登場し、金の力で堕ちていく人間の姿が描かれています。ドラマや映画化もされ、人気を博しました。
BLUE GIANT
出典:『BLUE GIANT』 ©石塚真一/小学館より
ジャズに魅了された主人公・宮本大が世界一のジャズプレーヤーになるためにサックスを学び始める音楽漫画です。
主人公の成長と共にサックスの腕も上達し、ただの高校生だった主人公が世界で活躍する様子が圧巻です。
2023年にはアニメ化もされ、今後も注目の漫画となっています。
まとめ
漫画の絵のタッチは、作者ごとに異なり、少年向け、少女向け、大人向けなどのジャンルによっても異なります。漫画を描く際には、読者層に合わせて画風を変えることが良いでしょう。
また、時代によって人気の絵のタッチも変化しています。例えば、少年漫画の代表作『北斗の拳』は劇画のようなタッチで描かれており、当時劇画漫画の人気が高かったことが窺えます。
このような流れは『ジョジョの奇妙な冒険』にも受け継がれていますが、劇画タッチは衰退し、『ドラゴンボール』のような線が細く、キャラクターのデフォルメが強調された絵のタッチが少年漫画で人気となりました。時代による変化を捉えることも作品作りの一つだと考えられます。
近年では流行の移り変わりがより速くなっている傾向もあるため、人気のある作品の絵のタッチを積極的に取り入れることが成功の秘訣となるかもしれません。
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