日本人にとって馴染み深い漫画が現在、ビジネスシーンにおいても活躍の幅を広げていることをご存じでしょうか。
漫画の「形式」はマーケティングにおいて、そのわかりやすさや伝達力の高さから、昨今ではSNSや動画の広告で頻繁に使われるようになりました。
この記事では、絵と文字そしてキャラクター、ストーリーによって構成される漫画マーケティングがどれほどの効果を持ち、どのようなメリット、デメリットを抱えているかをご紹介します。
漫画マーケティングとは？
漫画マーケティングとは、企業が自社製品やサービスを広告するために漫画を使用することを指します。
漫画をマーケティングツールとして使用することによって、複雑な情報や難解な概念を分かりやすく表現することが可能になり、ストーリーとキャラクターを通して製品やサービスの説明をスムーズに伝達することができます。
また、漫画自体が幅広い年齢層に受け入れられているため、多くのターゲットへの訴求性を備えており、購入に対する心理的ハードルを下げ、クライアントのROI(投資対効果)向上に直結しやすいことが特徴です。
漫画は娯楽として認識され、ビジネスと直接結びつけて考える方は多くないと思いますが、現在多くの企業が漫画を娯楽製品としてではなく、ビジネスの手段として活用しており、その流れは急激に加速してきています。
漫画マーケティングは、従来の文字や数字を利用したマーケティングと異なり、絵と文字そしてキャラクター、ストーリーによって構成されており、一目見ただけで記憶に残りやすい、ストーリーを通してユーザーに疑似体験させることによって感情に訴えることができる、今までリーチできなかった年齢層にリーチできるなど、様々なメリットがあります。
また、漫画は国内のみならず海外にも需要があり、海外展開においても漫画マーケティングの有効性が注目されています。
漫画を使ったマーケティングで期待される5つの効果
1. ペルソナを明確に設定できる
前述した通り、漫画マーケティングは幅広いターゲット層にリーチすることができます。そして「理想のお客様」となるペルソナを明確に設定することも可能です。
企業側としてはターゲット層を絞り込むことは容易かと思いますが、そこから具体的な人物像にまで落とし込み、ペルソナを想定することは簡単ではありません。
そして、ペルソナを想定できたとしても、それを文字だけで表現しようとすれば、広告自体が難解なものになってしまうこともあります。
しかし、漫画マーケティングにおいては、ペルソナは主人公であり、主人公は「理想のお客様」とイコールで繋がります。
主人公をペルソナとして設定することによって、ユーザーの共感を生み、製品・サービスを受け入れやすくすることができるのです。
2. 難しい内容をわかりやすく伝えられる
漫画マーケティング最大の魅力は高い伝達力にあります。文字だけの説明ではユーザーにとっても退屈でわかりづらいことが多々あります。
しかし、漫画はストーリー仕立てで商材を知ってもらうことができ、なおかつ難しい内容を絵と文字で視覚的に伝えることができます。
マーケティングの方向性を定める際に、ターゲット層を絞り込む段階で潜在顧客の具体的状況などを想定しなければならないことがありますが、文字だけで具体的状況を説明しようとすると冗長になり、ユーザーが最後まで広告を見なくなる可能性があります。
しかし、漫画では具体的な状況を絵とキャラクターの動きで表現できるため、難しい内容もわかりやすく伝えることができるのです。
また、キャラクターに製品・サービスを疑似体験させることでユーザーに使用イメージを持ってもらうことができるため、サービスや製品提供後のギャップなども緩和されます。
3. 印象に残りやすい
漫画マーケティングは図形や絵などの描写によってユーザーに情報を与えることで右脳を刺激し、イメージ、記憶として印象に残りやすいとされています。
さらに、漫画で重要とされている概念の一つであるストーリーは、信頼ホルモンであるオキシトシンやドーパミンを分泌させる働きがあるとされており、内容が頭に入りやすくなり、記憶にも残りやすくなるという特徴があります。
また、漫画のコマ割りのテクニックでストーリーに緩急を持たせることができ、「引き」と「めくり」と呼ばれる技法を使えば、最も伝えたい情報をインパクトのあるシーンに乗せて伝えることができ、読んだ人の印象に残りやすい作りとなっています。
4. 今までリーチできなかった人にリーチできる
漫画という媒体自体が日本のみならず全世界で認知され高い人気を誇っていますので、漫画マーケティングを使った広告は、今までリーチできていなかった潜在顧客にリーチできる利点があります。
漫画は若い層からも受け入れられやすいため、若者に向けたアプローチとしても有効です。
なぜなら、近年InstagramやYouTubeで漫画広告が増加しているのも上記の理由があるからです。
また、漫画はその他の広告と比べて目に留まりやすく、製品自体に興味がないユーザーに対して物語で興味を惹かせることができます。
そのため、漫画マーケティングは商品の認知度増加に大いに貢献することができます。
5. 多くの情報を伝えることができる
漫画マーケティングは多くの情報を伝えたいときにも有効です。なぜなら、ユーザーの購買意欲を高めてもらうためには、商品・サービスへの理解を深めてもらうことが必要不可欠だからです。
通常の広告では、たくさんの情報を一度に伝えようとすれば、伝えられる重要な情報が散漫してしまい、ユーザーが疲労したり押し売りをされていると感じてしまいます。
一方、漫画は伝えたい情報をストーリーに乗せることで、ユーザーに楽しんでもらいながら商品・サービスについて理解してもらうことができます。
その結果、疲労を感じさせることなく、広告を最後まで読んでもらいやすい傾向にあります。
また、他社との比較などをキャラクターのリアクションによって表現できるため、使用感やベネフィットをダイレクトに伝えることができます。
漫画マーケティングの使用方法
コンテンツマーケティング
漫画を使用したコンテンツマーケティングは、オウンドメディアの記事を漫画化することが多く、オリジナル記事や時事ニュース、取材記事、疑問解決型コラムなど多種多様な形態で活用することができます。
連載形式で行われる場合は、通常の広告よりも情報量を一層多くすることができ、ストーリーでキャラクターの成長や事件の解決などを描けば、通常以上の成果が見込めます。
コンテンツマーケティングの特徴は、商品・サービスの認知度よりも先行して作り上げたコンテンツの認知度が高まり、それに比例して商品・サービスの認知度も高まるところです。
作り上げた漫画が広告として見られるのではなく、娯楽漫画として見られる側面もあるため、広告を見ているという認識をユーザーに負わせないところも魅力の一つです。
SNSマーケティング
漫画を使用したSNSマーケティングは今後増加の一途を辿ることが予想されます。
なぜなら、2023年10月からステルスマーケティングが規制され、インフルエンサーを起用したマーケティングがしづらくなるからです。
インフルエンサーに払っていた依頼料を広告漫画の作成に回した方がコストパフォーマンスが高く、ブランドイメージを損なう可能性も減ります。
SNSマーケティングで使われる主なツールはInstagramとTwitterです。どちらのツールもアクティブユーザーが多く、高水準のROIを期待できます。
しかし、両ツールが持つ特徴は異なっているため、SNSマーケティングを活用する際には商材、ターゲット層を考慮して使い分ける必要があります。
例えば、Instagramは10代20代のユーザーが多く女性率も高いため、恋愛漫画、エッセイ漫画などのジャンルで描かれることが多いです。
Twitterは平均年齢が高く男女ともにユーザーが多いことから、万人受けする内容の漫画が描かれることが多いです。
広告宣伝
漫画を使用した広告宣伝は主に著名な漫画のキャラクターの利用、または著名な漫画家によるオリジナル広告漫画が挙げられます。
これらの広告宣伝は元々の漫画や漫画家が人気なことから、認知度の大幅な上昇が期待できます。
特に多く見受けられるのが、著名な漫画のセリフ部分だけを変更して、キャラクターに商品・サービスの説明をしてもらう広告漫画です。
この形式の広告宣伝の特徴は、漫画家にオリジナル漫画を描かせるよりもタイムパフォーマンスが高いことです。
通常、広告のためにオリジナルの漫画を作成するには、多くの時間が必要となります。
それに比べて元々の漫画をセリフだけ変更して広告漫画に変える手法は、漫画を描く工程を省くことができるので、短期間で広告を世に出すことが可能です。
漫画をマーケティングに使う際の注意点
自社の商品との相性を見極める
漫画マーケティングを行う際には、その漫画の要素が自社の製品・サービスと相性が良いことが鉄則です。
例えば、大人向けの製品を紹介する広告漫画を作る際に、児童向け漫画を起用すると、漫画と製品・サービスの間にギャップが生じ、ブランドイメージの低下に繋がる可能性もありますし、そもそものターゲット層が食い違い予想通りの成果を出せないケースもあります。
ですので、起用する漫画の読者層と商材のターゲット層の一致を念頭に入れる必要があります。
また、オリジナルの広告漫画を作成する際には、制作側がユーザーにウケる画風(絵のタッチ)を勘違いしているケースもあります。
例えば、子供向け商材のための広告漫画を作る際に、丸みを帯びた柔らかい画風よりもライトノベルなどの表紙で描かれる少年・少女漫画風の画風の方がユーザーの興味を惹き、購買に繋がる事例が多く見受けられます。
ターゲット層の購買意欲を把握し相性を見極めた上で広告漫画を作成する必要があります。
制作期間には一定の余裕を持しておく
漫画は通常、プロット作成、ネーム作成、下書き、ペン入れなどの多くの工程を通して完成されます。
作成工程の途中でストーリーやキャラクターを変更する際は全て一から書き直さなくてはならず、変更が多くなればなるほど納期も遅れます。
そのため、漫画マーケティングを行う際には、納期に一定の余裕を持たせておくことが重要です。納期に迫られたばかりにクオリティが充分でない漫画が納品されリリースされても、ブランドイメージを損なう可能性があります。
また、リライトになった場合はより一層のプロジェクト遅延に繋がる可能性もあります。
したがって、漫画マーケティングの成功の秘訣は、漫画家のスケジュールを考慮しつつ、製作期間を適切に設定することにあると言えます。
1つのコマに情報を詰め込みすぎない
前述したように、漫画マーケティングのメリットは通常の広告よりも多くの情報をユーザーに与えることにあります。
しかし、漫画は商材の情報の他にストーリーを入れなければならないため、1つのコマに情報を詰め込みすぎると、漫画自体が読みづらくなり、ユーザーが読むことをやめてしまう可能性があります。
漫画にとって1コマは貴重なスペースですが余白も必要です。商材についての理解よりも認知を優先し、まずは漫画を最後まで読んでもらうことを念頭に入れた方がいいでしょう。
漫画マーケティングの事例
日本での事例
日本における漫画マーケティングの事例をご紹介します。
下記のリンク先に詳細な情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
海外での事例
海外における漫画マーケティングの事例をご紹介します。
下記のそれぞれのリンク先に各国の詳細な情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
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